乱視ICLのクリニックは、手術費用の安さだけでは比較できません。乱視用レンズを扱っているか、乱視の軸をどう測るか、レンズが回転したときにどう対応するか、その対応が保証に含まれるか——これらは公式サイトでの説明の有無も含めて院ごとに差があります。この記事では順位付けをせず、カウンセリングで確認したい比較項目とその聞き方を整理します。
乱視ICLのクリニックは何で比べる?
乱視がある場合、通常のICLの比較軸に加えて、乱視用レンズに関わる項目を確認する必要があります。この記事では次の6点を扱います。
- 乱視用ICLを扱っているか、執刀医の資格
- 適応検査の内容と説明
- 費用と乱視用レンズの追加料金
- レンズが回転したときの対応方針
- 保証の条件と期間
- 術後検診と通いやすさ
比較軸1|乱視用ICLの取り扱いと執刀医の資格
まず、その院が乱視用(トーリック)ICLを扱っているかを確認します。ICLを実施していても、公式サイトに乱視用の記載がない院はあります。
執刀医については、日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)が次のように説明しています(2026年8月8日確認)。
眼科医がICLを行うためには日本眼科学会の屈折矯正講習会に参加した後、メーカーが行っているライセンス承認過程を経て、「ICL認定医」となる必要があります。
JSCRSはさらに「白内障手術などの内眼手術の経験が豊富で、患者様に寄り添った医療を行っている施設を選ばれるとよいかと思います」とし、「ICLのメリットだけではなく、デメリットについてもしっかり説明し、質問にも真摯に答えてくれることが大切です。メリットだけを謳い、低料金などで手術に誘導するような施設は、慎重に検討された方がよいでしょう」と述べています。
比較軸2|乱視用ICLの適応検査の内容と説明
乱視用ICLでは、乱視の度数だけでなく乱視軸(乱視の方向)を測る必要があります。レンズはこの軸に合わせて作られ、決められた向きで固定されるためです。
カウンセリングでは、乱視の軸をどのように測定し、手術計画にどう反映するかを質問してみてください。あわせて、次の点も確認しておくと安心です。
- 適応検査は有料か無料か
- 検査の結果、適応外と判断された場合の費用の扱い
- 乱視の原因(角膜の形状など)についても評価するか
当サイトが8院を調査したところ、適応検査料について公式サイトに記載があったのは5院で、残り3院は記載が確認できませんでした(2026年8月8日確認)。金額を明示している院のほか、無料と明示している院もありました。
比較軸3|費用と乱視用レンズの追加料金
乱視用レンズの追加料金は、調査した8院で0円から10万円程度まで幅がありました。また「両眼で+◯円」と「片眼につき+◯円」の表記が混在しており、そのままでは比較できません。
金額の詳細と、総額に関わる条件の比較はICLの乱視あり費用はいくら?乱視なしとの料金差・相場を比較にまとめています。
比較軸4|レンズが回転したときの対応方針
乱視用ICLに特有の、そして見落とされやすい比較軸がこれです。JSCRSは、乱視矯正ICLが回転した場合について「まず最初にICLの位置を元に戻す整復術を行う事が多いです」とし、繰り返す場合は「サイズの大きいICLに入れ替えて回転しづらくする方法があります」と説明しています。
問題は、この対応方針が公式サイトからはほとんど読み取れないという点です。当サイトの調査では、レンズ回転時の対応方針を公式サイトに明記していたのは8院中2院のみでした(2026年8月8日確認)。
裏を返せば、これはカウンセリングで直接聞くべき項目だということです。回転の仕組みについてはICLの乱視用レンズはずれる?回転する確率・見え方・対処法をご覧ください。
比較軸5|保証の条件と期間
保証は「あるかないか」ではなく、何がどの期間まで対象かを確認する必要があります。調査した8院では次のような違いがありました。
- 保証期間が6か月の院から3年の院まで幅がある
- レンズの「位置修正」と「交換・入れ替え」で無料の期間が異なる院がある(たとえば交換は3か月・位置修正は1年、といった設定)
- 保証の延長を有料オプションとして用意している院がある
- 公式サイトに保証の記載が確認できない院がある
乱視用ICLの場合、位置修正が保証に含まれるかは特に重要です。同じ「保証3年」でも、対象に何が含まれるかで意味が変わります。
比較軸6|術後検診と通いやすさ
JSCRSは術後の通院について「一般的には、手術翌日・(3日目)・1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後・1年後です。その後は1年に1度程度の定期検査を受けることをお勧めします」としています。
また、アフターケアについて「施術後のアフターケアは、手術を受けた病院で継続することが良いでしょう」「残念ながらすべての病院でICLのアフターケアができるわけではありませんので、ICLの経験のある信頼できる施設で診療を受けることが望まれます」と述べています。
手術当日だけでなく、1年後まで通える場所かという視点で考えることをおすすめします。調査では、術後検診が料金に含まれる期間も3か月から3年まで院によって異なりました。
調査でわかった「公式サイトに書かれていること・いないこと」
以下は、当サイトが2026年8月8日に8院の公式サイトを確認した結果です。各院の優劣を示すものではなく、公式サイト上で情報を確認できたかどうかという事実のみを示しています。掲載順は五十音順です。記載がないことは、その対応をしていないことを意味しません。
| 医療機関 | 適応検査料 | 保証 | 回転時の対応 |
|---|---|---|---|
| ICL専門アイクリニック東京グループ | 記載あり | 記載あり | 軸補正が必要になることがある旨の言及あり |
| 大沢眼科 | 記載なし | 記載あり | 記載なし |
| 品川近視クリニック | 記載あり(無料と明示) | 記載あり | 記載なし |
| 新宿近視クリニック | 記載なし | 記載あり(対象に位置調整を含む) | 記載なし |
| 先進会眼科 | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| ふくおか眼科クリニック 中野 | 記載あり | 記載あり | 対応方針の記載あり |
| フジモト眼科 | 記載あり | 記載なし | 記載なし |
| よしだ眼科クリニック | 記載あり | 記載あり | 対応方針の記載あり |
この結果から言えるのは、公式サイトだけで比較を完結させるのは難しいということです。カウンセリングで直接確認する前提で候補を絞るのが現実的です。
カウンセリングで使える確認シート
複数の院で同じ項目を聞くと比較しやすくなります。メモ欄にご自身で書き込んでご利用ください。
| 確認項目 | なぜ確認するか | 聞き方の例 | メモ |
|---|---|---|---|
| 乱視用レンズの取り扱い | 扱っていない院もある | 「乱視用のレンズは扱っていますか」 | |
| 乱視軸の測定方法 | 軸が合わないと効果が出ない | 「乱視の軸はどのように測って手術に反映しますか」 | |
| 乱視用の追加料金 | 両眼か片眼かで金額が変わる | 「乱視用だといくら追加ですか。両眼の金額ですか」 | |
| 適応検査料 | 適応外だった場合の負担 | 「検査料はいくらですか。適応外の場合はどうなりますか」 | |
| 回転時の対応 | 乱視用に特有の論点 | 「レンズが回転した場合、どう対応しますか」 | |
| 整復・交換の保証 | 費用負担が変わる | 「位置修正やレンズ交換は保証に含まれますか。いつまでですか」 | |
| 術後検診 | 総額と通院負担に関わる | 「検診は何回まで、いつまで料金に含まれますか」 | |
| 通いやすさ | 1年後まで通う必要がある | 「定期検査はどのくらいの頻度ですか」 |
当サイトが順位付けをしていない理由
当サイトは、クリニックのランキングや「おすすめ1位」といった順位付けを行いません。理由は次のとおりです。
- 比較の条件がそろわない
料金の表記(両眼/片眼、税込/税別)、料金に含まれる範囲、保証の対象がそれぞれ異なり、同じ基準で並べられません - 公式サイトに記載がないことは、対応していないことを意味しない
記載の有無だけで評価すると実態を誤って伝えることになります - 適切な選択は人によって違う
度数、乱視の種類、通院のしやすさ、予算によって、重視すべき点が変わります
掲載順は五十音順に固定しており、料金の高低や提携の有無で並べ替えたり、掲載する医療機関を選んだりしていません。調査方法は編集方針で公開しています。
まとめ
- 乱視ICLでは、通常の比較軸に加えて乱視軸の測定と回転時の対応を確認する
- 回転時の対応方針を公式サイトに明記していたのは8院中2院のみだった
- 保証は期間だけでなく、位置修正が対象に含まれるかを確認する
- 公式サイトだけでは比較を完結できないため、複数院で同じ項目を質問する
- 術後は1年後まで通院が想定されるため、通いやすさも判断材料になる
比較の前提として、ご自身が乱視用ICLの対象になるかは適応検査で判断されます。仕組みと適応についてはICLは乱視でもできる?眼内コンタクトレンズで乱視を矯正する仕組み・適応を解説をご覧ください。
参照した情報源
- 日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)「ICLを考えている方へ」(2026年8月8日確認)
- 日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)「ICLの合併症」(2026年8月8日確認)
- 上記8院の公式サイト(料金・保証・術後検診の各ページ、いずれも2026年8月8日確認)
